【獣医師解説】愛猫のかゆみの原因を解説
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とある調査によると、ねこちゃんが動物病院を受診する理由のうち、皮膚疾患は3番目に多いそうです。今回は皮膚の症状のうち、かゆみに注目して詳しく解説をしていきます!
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正しい情報を持っていただき、愛猫の健康維持にぜひお役立てください!
1. かゆみの原因・症状
かゆみの原因は多岐にわたります。代表的なものを以下に紹介します。
◆外部寄生虫
ノミや疥癬、ニキビダニ(毛包虫)などの「外部寄生虫」と呼ばれる虫が原因でかゆみを引き起こすことがあります。
保護したばかりの野良猫はノミが寄生している事がよくあります。体に黒褐色のフケのようなものがついていたら、ノミ糞の可能性があるので注意してください。
ノミの唾液へのアレルギー症状が出ている場合は非常に強い痒みを伴います。ノミ寄生が重度の場合は吸血によって貧血を起こす場合もあります。
ノミの唾液へのアレルギー症状が出ている場合は非常に強い痒みを伴います。ノミ寄生が重度の場合は吸血によって貧血を起こす場合もあります。
疥癬は「ネコショウセンコウヒゼンダニ」というダニの寄生が原因です。猫同士の接触によって移る場合が多く、屋外へ出る猫ちゃんは感染の可能性が増えます。「センコウ」という名の通り、皮膚を穿孔してトンネルをつくるため、非常に強いかゆみを伴います。
ミミヒゼンダニはその名の通り耳道に寄生するダニです。赤黒い耳垢が出て強い痒みを伴います。特に子猫での感染が多いです。
2.主な治療方法
◆外部寄生虫
駆虫薬によって外部寄生虫を駆除します。この際に使用される駆虫薬は、「ノミダニ予防薬」として処方されるものと同じです。野良猫を保護した場合や、屋外の猫との接触の可能性がある場合などは特に予防薬を定期的に使用するようにしましょう。
ミミヒゼンダニが原因の場合は、徹底的な耳洗浄を行う必要があります。このダニの卵は駆虫薬が効かないため、耳の洗浄と駆虫薬の投与は長期的に繰り返さなければならないことも多くあります。
◆感染
感染の範囲や度合いによって治療方法は異なります。外用薬、内服薬、シャンプーでの洗浄などを組み合わせて治療を行います。
糸状菌感染の場合、バリカンで毛を短くしてシャンプーの効果を高めることもあります。
◆アレルギー
食物アレルギーが疑われる場合、アレルゲンとなるたんぱく質を避けた食事への変更を行います。食物アレルギー用の療法食を使用する場合が多いです。食事療法を確実に行うためには療法食以外のおやつや歯磨きガムなどを一切遮断する必要があるため、家族全員で治療方針の共有をする事がとても大切となります。
環境因子でアレルギーが引き起こされている場合は、ハウスダストマイト(室内のダニ)をできるだけ排除するために頻回の掃除・洗濯、防ダニ製品の使用、などが必要となります。
食事や環境を変えても症状が落ち着かない場合はかゆみ止めを長期的に服用する場合もあります。
◆その他
膀胱炎や腰痛などが原因の場合はその治療を行います。ストレスが原因の場合はできる限りストレスの原因を特定し、生活環境を改善する必要があります。
3.日頃から気をつけたいこと
かゆみの原因は多岐にわたります。日頃からのケアが大切ですので、以下の点に気を付けましょう。
◆定期的な予防薬の使用
ねこちゃんの予防薬は皮膚に滴下するタイプが主です。自宅での投薬が難しい場合は動物病院内で投薬してもらうのもひとつの手です。
◆環境を清潔にする
猫ちゃんが生活する環境を定期的に掃除をして清潔を保ち、ハウスダストマイトの増殖を防ぎましょう。
◆ブラッシング
特に長毛の猫ちゃんは定期的にブラッシングをすることが大切です。ブラッシングで猫ちゃんに触れることで皮膚の異常にも気づきやすくなり、早期発見にもつながります。
◆症状が出たら早めに病院へ
かゆみ治療は早めに行うことが非常に大切です。痒みや炎症がひどくなった状況からでは治療も困難になります。日頃から猫ちゃんの行動を気にかけて、痒がる様子があれば早めに動物病院を受診することをおすすめします。