【獣医師解説！】混合ワクチンって必要？種類は？子犬・子猫期から成犬・成猫期まで一気に解説！

◆コアワクチンとノンコアワクチンとは？

わんちゃんの「混合ワクチン」には複数の病原体に対するワクチンが含まれています。

WSAVA（世界小動物獣医師会）という組織が作成しているワクチネーションガイドラインによると、各病原体は「コアワクチン」と「ノンコアワクチン」に分類されています。

コアワクチンに含まれる疾患は世界中で発生があり、発症すると命の危険があるため、飼育環境や地理的位置によらず全てのわんちゃんに接種することが推奨されています。

一方でノンコアワクチンは、飼育環境や地理的要因、ライフスタイルに応じて、感染リスクがある場合は接種を検討すべきワクチンとされています。

わんちゃんのコアワクチンに含まれるものは
①犬ジステンパーウイルス　③犬アデノウイルス2型　③犬パルボウイルス　であり、

ノンコアワクチンに含まれるものは
①犬パラインフルエンザウイルス　②レプトスピラ　となっています。

また、犬コロナウイルス感染症に関しては通常は無症状か臨床症状が発現しても軽度であるため、WASAVAのガイドラインでは非推奨ワクチンとして分類されています。

◆どのワクチンを選ぶべき？

基本的に日本で接種できる混合ワクチンにはコアワクチンは含まれているため、ノンコアワクチンの選択をどうするかが決め手となります。

パラインフルエンザウイルスはケンネルコフ（わんちゃんの風邪）の原因ともなるウイルスのため、ドッグランによくお出かけする場合や、ワンちゃん同士のふれあいが多い環境の場合は接種をおすすめします。

レプトスピラに関しては、レプトスピラの感染が認められている地域だったり、ネズミの生息する自然の多い環境によくお出かけする場合は接種をおすすめします。

2.ワクチンの選択　ーねこちゃん編ー

◆コアワクチンとノンコアワクチンとは？

ねこちゃんの混合ワクチンも、わんちゃんと同様にコアワクチン、ノンコアワクチンに分類されます。

コアワクチンに含まれる疾患は世界中で発生があり、発症すると命の危険があるため、飼育環境や地理的位置によらず全てのねこちゃんに接種することが推奨されています。

一方でノンコアワクチンは、飼育環境や地理的要因、ライフスタイルに応じて、感染リスクがある場合は接種を検討すべきワクチンとされています。

ねこちゃんのコアワクチンに含まれるものは
①猫ウイルス性鼻気管炎（ヘルペスウイルス1型）　②猫汎白血球減少症ウイルス　③猫カリシウイルス　であり、

ノンコアワクチンに含まれるものは
①猫クラミジア　②猫白血病ウイルス　③猫免疫不全ウイルス（猫エイズ）　となっています。

◆どのワクチンを選ぶべき？

一般的には、1頭のみの完全室内飼いの場合はコアワクチンのみの接種、多頭飼育だったり、ペットホテルを頻繁に利用したり、屋外との行き来があったりする場合はノンコアワクチンを追加する、という考え方が主流です。

病院によってはコアワクチンのみで構成される「3種混合ワクチン」だけを取り扱うところもあります。接種前にかかりつけの獣医師とよく相談してみてください！

3.ワクチンを打つタイミング　ーわんちゃん・ねこちゃん共通ー 編ー

◆初年度

初年度のワクチンは少し特殊で、子犬の場合も子猫の場合も「6～8週齢で1回目を接種し、16週齢またはそれ以降まで2～4週毎に接種を繰り返す」ことが推奨されています。

このルールに従って、生後2ヶ月・3か月・4ヶ月の3回接種する事をお勧めしている動物病院が多いです。

初年度に複数回ワクチンを打たなければならない理由は、母乳から受け継ぐ「移行抗体」と関係しています。
この移行抗体が多い時期にワクチンを打っても、その作用が抑えられてしまう可能性があります。
移行抗体がいつまで体内に残るかは個体差があるため、上記のスケジュールで接種をする事で確実に感染症から守ることを期待するというわけです。

◆2年目以降

2年目以降は1年に1回の追加接種が基本となります。
ただし、健康状態などによっては接種を見送ったり、接種間隔を変更したりする場合もあります。ワクチン接種に不安がある場合はかかりつけの獣医師と相談してみてください。

まとめ