【獣医師解説】見逃さないで!愛犬・愛猫のうんち(便)のサイン
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◆色
健康な場合、うんちの色は茶色です。
野菜などを食べて消化されずに排泄されて便の色が変化している場合はさほど大きな心配はいりませんが、
食事とは関係なく便の色が変化する場合は注意が必要です。
鮮血が混じって赤い場合は大腸や肛門付近からの出血が疑われます。
黒色の場合は、出血した後に血が酸化されて黒くなっている事が示唆されるため、胃や小腸からの出血が疑われます。
白色の場合、うんちそのものが変色しているのであれば膵臓などに問題が隠れている可能性があり注意が必要です。
また、うんちに白色のヒモ状の物体が付着している場合は寄生虫の可能性があり、こちらも注意が必要です。
◆形
しっかりとした形状で、ほどよく固く、柔らかすぎないうんちが理想です。
硬すぎるうんちは便秘や水分不足の可能性があります。
便秘は放置すると「巨大結腸症」という病態に移行する場合があるので、続く場合は動物病院を受診しましょう。
柔らかすぎるうんちや下痢は、細菌・ウイルス・原虫・寄生虫などの感染や食物アレルギーなどの可能性があります。
こちらも症状が継続する場合は動物病院を受診しましょう。
特に子犬や子猫の場合、下痢による脱水などで全身状態が悪化する可能性があるため注意が必要です。
◆量
うんちが少ない場合には便秘などが頭に浮かぶ方が多いと思いますが、実は多すぎるのも良くありません。
量が多すぎる場合、食事がうまく消化・吸収されていない可能性があります。
食べている量に比べてうんちの量が多く感じる場合は、ごはんを変更してみるのも良いかもしれません。
ただし、急にごはんを変更するとお腹がびっくりして下痢などの症状を起こすことがあるため、ごはんを変更する際は1週間ぐらいかけて徐々に変更するようにしてください。
2.病院の検査でわかること
◆顕微鏡での検査
採取したうんちを顕微鏡で見ることで、腸内細菌叢のバランスや寄生虫の有無などを調べる事ができます。
寄生虫に関しては一度の検査では検出しきれない事があるので、何度か検査を実施することもあります。
◆遺伝子検査(リアルタイムPCR検査)
ウイルスや細菌感染が疑われる場合に、外注検査を利用してリアルタイムPCR検査を行うことがあります。
病原体の感染の有無を調べ、使用するお薬の決定や変更を行います。
伝染性の強い病原体が検出された場合は、一時的に他のわんちゃんやねこちゃんからの隔離が必要になることもあります。
犬パルボウイルスなど一部のウイルスは簡単なキットで測定できるため、院内でキットを用いて検査を行う場合もあります。
◆超音波検査や内視鏡検査
お腹の中の精査が必要と判断された場合は、便検査だけではなく超音波検査や内視鏡検査を実施します。
超音波検査では腸の形状を調べたり、お腹の中のリンパ節の腫れの有無を調べたりします。
内視鏡検査は全身麻酔下で行う検査で、腸の組織の一部を生検して病理検査を行います。
また、内視鏡についているカメラで胃や腸の粘膜の色などを確認します。
◆血液検査
超音波検査などと併せて血液検査を実施する場合もあります。
消化器症状は様々な臓器と関連して起こる場合があるので、検査項目を広めに設定して測定することが多いです。
貧血の有無や血液中のたんぱく質の量、肝臓の数値などが特に重要となります。
3.良いうんち(便)を維持するには
◆体質にあった食事をとる
バランスの良い良質な食事をとることが何よりも大切です。
うんちの色や量、毛づやに着目してわんちゃんやねこちゃんにあった食事をぜひ見つけてみてください!
体質によっては特定のたんぱく質にアレルギー反応を示して腸炎を起こす可能性もあるので、消化器症状が長く続く場合には獣医師と相談の上で療法食の使用が必要になるかもしれません。
◆予防をしっかりする
誤食に注意をしていても、お散歩中に他のわんちゃんの便を口にしてしまったりして寄生虫が感染する可能性もあります。
月に1回のフィラリア・ノミ・マダニ予防薬の中には消化管の寄生虫まで一緒に予防できる薬があるため、そのようなタイプのお薬で予防をしておくと安心でしょう。
◆ストレスの軽減
過度なストレスも消化器症状の原因となる事があります。
適度な運動などでわんちゃんやねこちゃんと積極的にコミュニケーションをとることで、お留守番のストレスなどを解消してあげましょう。