【獣医師解説】愛犬・愛猫の低血糖発作について詳しく解説
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前回の記事では発作の概要についてお伝えしました。今回はその中でも低血糖発作に焦点を当てて、詳しく解説します。
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正しい情報を持っていただき、愛犬の健康維持にぜひお役立てください!
1.低血糖発作とは
◆ 低血糖発作とは
「糖」が脳にとって重要な栄養であることはご存知の方も多いと思います。実際に全身の糖消費の25%は脳でされており、脳は低血糖の影響を受けやすいです。低血糖の状態では脳内でのエネルギー(ATP)の産生が不足し、細胞内外でのミネラル等のやりとりがうまくいかず、脳細胞が浮腫をおこします。この浮腫によってしばしば発作が引き起こされます。
◆ 体内での糖のうごき
ごはんから摂取した糖(グルコース)は肝臓で「グリコーゲン」という形で貯蔵されます。グリコーゲンは、血中の糖の濃度が下がってくると再び「グルコース」へと形を変え、血液中に放出されます。
糖の貯蓄⇔放出のやりとりには様々なホルモンが関与しており、貯蓄させる(血糖値を下げる)役割を果たしているのは「インスリン」というホルモンです。
放出させる(血糖値を上げる)役割を果たしているのは「グルカゴン」「コルチゾール」「アドレナリン」「成長ホルモン」があります。
生命の維持には糖が欠かせないため、血糖値を上げる役割のホルモンの方が種類が多いのは理にかなっていますね。
2.低血糖の原因
◆子犬・子猫
1章でも解説したとおり、血糖値の維持には肝臓の役割が大きいです。
肝臓がしっかり成長していれば、しばらくの間ごはんを食べなくても血糖値を維持することは可能です。しかし子犬や子猫は肝臓などの臓器の発達が未熟なため、空腹の時間が長時間続くと簡単に低血糖に陥ってしまいます。
肝臓がしっかり成長していれば、しばらくの間ごはんを食べなくても血糖値を維持することは可能です。しかし子犬や子猫は肝臓などの臓器の発達が未熟なため、空腹の時間が長時間続くと簡単に低血糖に陥ってしまいます。
離乳していない子犬や子猫は3時間ほどミルクの間隔があいただけでも低血糖に陥る可能性もあります。離乳後でも6~8時間の間隔でごはんを食べさせることが大切です。
◆糖尿病の治療中
糖尿病は血糖値が異常に高い状態が続いてしまう病態なので、インスリンを注射で補充して治療をする事が多いです。
しかしこのインスリン量の調節は非常に難しいため、治療中にインスリンが過剰になり低血糖を起こしてしまう場合があります。
しかしこのインスリン量の調節は非常に難しいため、治療中にインスリンが過剰になり低血糖を起こしてしまう場合があります。
いつもよりも食欲がないにも関わらずインスリン量はいつも通りに打ってしまう事などが代表的な原因です。食べたごはんの量が少なかったときにインスリンを打つ量をどうするかをあらかじめ主治医と相談しておくか、投薬量に迷ったときはその都度主治医に相談してみることをお勧めします。
◆腫瘍
腫瘍が原因でも低血糖が引き起こされる場合があります。膵臓にできるインスリノーマという腫瘍ではインスリンが過剰分泌されて低血糖を引き起こします。その他、肝細胞癌や平滑筋腫、肺腺癌、乳腺癌など、さまざまな腫瘍が原因で低血糖が誘発されることがあります。
◆キシリトール
人工甘味料としてガムなどに含まれるキシリトールは、わんちゃんが食べるとインスリンの過剰分泌を引き起こし、低血糖に陥る可能性があります。
キシリトールが原因の低血糖は摂取後30~60分と非常に短時間で起きてしまうため、万が一食べてしまった場合はすぐに動物病院を受診しましょう。
キシリトールが原因の低血糖は摂取後30~60分と非常に短時間で起きてしまうため、万が一食べてしまった場合はすぐに動物病院を受診しましょう。
◆肝臓の病気
肝不全を起こすような病気を持っている場合、肝臓での血糖値の調節ができなくなるため低血糖を引き起こしやすくなります。
また、そのような病気を持っている場合は食欲不振に陥りやすく、さらに低血糖のリスクが高まります。肝臓の病気を治療中の場合は、低血糖のリスクが少なからずあるということを頭の片隅に入れておいてください。
また、そのような病気を持っている場合は食欲不振に陥りやすく、さらに低血糖のリスクが高まります。肝臓の病気を治療中の場合は、低血糖のリスクが少なからずあるということを頭の片隅に入れておいてください。
3. 低血糖発作への対処法
低血糖を起こすと意識がもうろうとしたり、歩き方がフラフラしたり、重症になると発作を起こしてしまいます。2章であげたような基礎疾患などを持っている子がこのような症状をみせた場合は低血糖が原因である可能性があるため、一刻も早い対応が必要になります。
◆糖の投与
ブドウ糖の投与は低血糖の治療に不可欠です。
最も効果が早い方法は静脈投与ですが、これは病院で血管確保を行う必要があるため、自宅での実施は難しいです。
自宅で低血糖症状を見つけた時は一刻も早くブドウ糖を経口摂取させましょう。意識がもうろうとして飲み込む力が弱い時は、歯茎に糖液を塗るだけでも効果があります。投与する液体はガムシロップ(シュガーレスでないもの。人工甘味料はNG)や蜂蜜、砂糖水などが良いです。
基礎疾患を持っていて低血糖のリスクがある際は、あらかじめ動物病院で「50%ブドウ糖液」という濃い糖液を処方してもらい、その液体を経口投与すると確実です。
最も効果が早い方法は静脈投与ですが、これは病院で血管確保を行う必要があるため、自宅での実施は難しいです。
自宅で低血糖症状を見つけた時は一刻も早くブドウ糖を経口摂取させましょう。意識がもうろうとして飲み込む力が弱い時は、歯茎に糖液を塗るだけでも効果があります。投与する液体はガムシロップ(シュガーレスでないもの。人工甘味料はNG)や蜂蜜、砂糖水などが良いです。
基礎疾患を持っていて低血糖のリスクがある際は、あらかじめ動物病院で「50%ブドウ糖液」という濃い糖液を処方してもらい、その液体を経口投与すると確実です。
糖液が準備できたら症状が改善するまでゆっくりと糖液を飲ませてあげてください。発作で飲み込む力が弱くなっている場合は誤嚥性肺炎のリスクが上がるため、糖液が気管に入らないよう十分に注意してください。
◆原因疾患の治療
上記項目で紹介した方法で応急処置をおこなったら、なるべく早く動物病院を受診しましょう。
子犬や子猫を除いて、低血糖を起こした場合は何らかの原因疾患があるため、その病気の治療が必要となります。
かかりつけの動物病院が休診などの場合でもなるべく早く受診をした方が良いので、あらかじめ自宅の近くにある救急病院など調べておくと良いかもしれません。
子犬や子猫を除いて、低血糖を起こした場合は何らかの原因疾患があるため、その病気の治療が必要となります。
かかりつけの動物病院が休診などの場合でもなるべく早く受診をした方が良いので、あらかじめ自宅の近くにある救急病院など調べておくと良いかもしれません。
まとめ
今回は低血糖症状に絞って詳しく解説をしました。
いかがでしたか?低血糖発作は怖い病態ですが、自宅でも応急処置が可能です。ぜひこの記事をご参考に、いざという時に備えていただければと思います!
いかがでしたか?低血糖発作は怖い病態ですが、自宅でも応急処置が可能です。ぜひこの記事をご参考に、いざという時に備えていただければと思います!