【獣医師解説】愛犬のかゆみの原因を解説
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とある調査によると、わんちゃんが動物病院を受診する理由のうち、皮膚疾患は2番目に多いそうです。今回は皮膚の症状のうち、かゆみに注目して詳しく解説をしていきます!
かゆみの原因は多岐にわたります。代表的なものを以下に紹介します。
◆外部寄生虫
ノミや疥癬、ニキビダニ(毛包虫)などの「外部寄生虫」と呼ばれる虫が原因でかゆみを引き起こすことがあります。
ノミは草むらなどの環境中からわんちゃんに飛びついて寄生することが多いですが、自宅の敷地に出入りする野良猫から移る場合もあります。
ノミの唾液に対してアレルギー反応を引き起こして痒みが出ます。背中に症状が出る場合が多いことが特徴です。
ノミの唾液に対してアレルギー反応を引き起こして痒みが出ます。背中に症状が出る場合が多いことが特徴です。
疥癬は「イヌセンコウヒゼンダニ」というダニの寄生が原因です。
犬同士の接触によって移る場合や、タヌキやキツネなどの野生動物の死体や巣への接触でも移る可能性があります。「センコウ」という名の通り、皮膚を穿孔してトンネルをつくるため、非常に強いかゆみを伴います。耳介に症状がでる場合が多いことが特徴です。
犬同士の接触によって移る場合や、タヌキやキツネなどの野生動物の死体や巣への接触でも移る可能性があります。「センコウ」という名の通り、皮膚を穿孔してトンネルをつくるため、非常に強いかゆみを伴います。耳介に症状がでる場合が多いことが特徴です。
ニキビダニは毛穴に寄生するダニで、健康なわんちゃんにも常在しているダニです。そのため存在している事は問題ないのですが、様々な理由によりわんちゃんの免疫力が落ちた場合などに異常に増殖すると痒みの症状が出ます。
◆感染
ブドウ球菌などの細菌や、マラセチアなどのカビの感染によっても痒みがでる場合があります。
これらは常在菌のため皮膚に存在していること自体は問題ないのですが、わんちゃんの免疫力が落ちた場合や皮膚のバリア機能が落ちた場合などに異常に増殖をして痒みを引きおこします。かゆみを起こしている部位に膿や臭いが出たり、かさぶたができることがあります。
◆アレルギー
ハウスダストなど環境因子や、食物アレルゲンなどに反応をして皮膚に痒みがでる場合があります。耳、目の周り、口の周り、指の間などに痒みや赤みの症状が出る場合が多いです。
◆外部寄生虫
駆虫薬によって外部寄生虫を駆除します。この際に使用される駆虫薬は、「ノミダニ予防薬」として処方されるものと同じです。つまり、予防薬をしっかり継続することで外部寄生虫による皮膚症状は予防できます。フィラリア予防とあわせてノミダニ予防も忘れずに行うようにしましょう。
◆感染
感染の範囲や度合いによって治療方法は異なります。シャンプーでの洗浄、外用薬、内服薬を組み合わせて治療を行います。
皮膚のバリア機能を整えるために保湿剤を使用する場合もあります。
◆アレルギー
食物アレルギーが疑われる場合、アレルゲンとなるたんぱく質を避けた食事への変更を行います。
食物アレルギー用の療法食を使用する場合が多いです。
食事療法を確実に行うためには療法食以外のおやつや歯磨きガムなどを一切遮断する必要があるため、家族全員で治療方針の共有をする事がとても大切となります。
食物アレルギー用の療法食を使用する場合が多いです。
食事療法を確実に行うためには療法食以外のおやつや歯磨きガムなどを一切遮断する必要があるため、家族全員で治療方針の共有をする事がとても大切となります。
環境因子でアレルギーが引き起こされている場合は、ハウスダストマイト(室内のダニ)をできるだけ排除するために頻回の掃除・洗濯、防ダニ製品の使用、などが必要となります。
食事や環境を変えても症状が落ち着かない場合はかゆみ止めを長期的に服用する場合もあります。
3.日頃から気をつけたいこと
◆定期的な予防薬の使用
皮膚に滴下するタイプやおやつ感覚のものなど沢山の製品があるので、一番投薬しやすいものをしっかりと継続しましょう!
◆環境を清潔にする
わんちゃんのベッドやカーペットなど、ハウスダストマイトが好む場所は定期的に掃除をして清潔を保ちましょう。
◆ブラッシング
定期的にブラッシングをすることで被毛を清潔にたもちましょう。またブラッシングでわんちゃんに触れることで皮膚の異常にも気づきやすくなり、早期発見にもつながります。
◆ストレス発散
実はストレスによって指先を嚙んでいる場合もあります。わんちゃんの性格や体力にあわせて運動する時間を確保し、ストレスをため込まない工夫が必要です。噛み心地の良いおもちゃもストレス発散には良いでしょう。
◆症状が出たら早めに病院へ
かゆみ治療は早めに行うことが非常に大切です。痒みや炎症がひどくなった状況からでは治療も困難になります。日頃からわんちゃんの行動を気にかけて、痒がる様子があれば早めに動物病院を受診することをおすすめします。